6月の入梅二近いある日、少し冷房の効いてる京浜東北線で大宮へ。


中央改札を出るとすでに麗菜さんが待っていてくれました。

『すいません。待たせちゃいましたか?』
(いいえ、大丈夫ですよ。)

『どうもはじめまして、高木直樹といいます。』
(あ、どうも。麗菜です。きょうは湿気が多くてムシムシしますね。)

『これから行く美容院てここから遠いんですか?』
(歩いて5分くらいです。直樹さんは美容院初めてですか?)

『は、はい。ずっと・・・その・パーマしたくて・・。』
(あらぁ、そうだったの!だったら早く連絡してくれればよかったのに~.)

『ぼく、4月に高校卒業したばかりでパーマは、卒業してからじゃないとダメだったから。それに恥ずかしくて・・・。』
(やっぱりね!男の人ってみんな美容院行くの恥ずかしがるのよね~・でも今日行く美容院は私の知り合いの美容院だから大丈夫よ。そんなに、恥ずかしがらなくても。)

『でも・・やっぱり若い女のお客さんとか居たりしたら恥ずかしいです。』
(これから行くお店はレトロなお店だから年配のお客さんしか来ないから大丈夫よ。)

麗菜さんからそう言われて僕は少し安心しました。

麗菜さんとそんな会話をしている内に美容院の前に着きました。

(ここよ。さあ入りましょうか?)
『はい・・』

そこは昔風の、いかにも美容院といったお店でした。

カランと鈴の音の様な音と共に麗菜さんが中に入って行きました。

僕もすぐ後からはいります。
するとすぐに中から

≪いらっしゃいませ。≫
と若いスタッフが出てきた。

僕は若いスタッフは居ないと思っていたのでその場に立ち尽くしてしまった。

(直樹くん、どうしたの?早くこっちに来て座ったら?)
『は・・・はい』

僕と麗菜さんはソファーの奥に座った。
スタッフはどうやら年配の先生と、この若い・・おそらく十代の助手らしい女の子の2人だけのようだ。

お店の中には、僕たちより前に来て順番待ちしている中年の女の人が1人と、先生がやっているお客さんの2人が居た。

≪いらしゃいませ。本日はどのようになさいますか?≫

(二人ともパーマでお願いします。)

僕は生まれて初めて美容院に入った緊張で話ができなかった。

(どちらが先にする?)

麗菜さんに突然聞かれて、たじろいでいると・・・

(う~ん・・じゃあ・・・私からにするね。)
『あっ・・はい』

僕は、麗菜さんはあくまで付き添いだと思っていたら、パーマすると聞いて -興奮しました。

自分がパーマかける事に緊張しているのに、まさか麗菜さんのパーマ姿が見れるなんて・・・・。

そんな事を考えていると、僕たちより前に来て順番待ちしていたお客が席に案内された。

そして先生のお客さんが終わっていよいよ麗菜さん
も呼ばれて席に案内された。
僕はパ-マの行程を全部見たことが無い。

街を歩きながらチラッと美容院の中を見るくらいしか出来なかった。

先生は僕たちの先のお客さんのロットを巻きはじめて
いる。

麗菜さんはシャンプーとカットを省略してブロッキングの最中だ。

約10のブロックに麗菜さんの髪を分けた若いスタッフは、それ以上先には進まずに麗菜さんと何か雑談をしていた。

僕たちより前のお客さんがロットを巻き終り、ターバンの中にタオルを押し込んでからビニールのキャップを被せられて更に、このお店はタオルで包むスタイルの様です。

そのお客さんにタオル保温やり終わると先生がやっと麗菜さんの所にやってきた。

すでにえ麗菜さんはブロッキングも終わっていてロットを巻くだけの状態にしてあった。

先生はすばやく麗菜さんにロットをまき始める。

週刊誌を読みながら次々にロットを巻かれていく麗菜さんの様子が鏡に映ってよく見えて興奮が止まらなくなった。

麗菜さんのロット巻きが半分を越えたあたりで若いスタッフが僕のところへきた。

≪どうもお待たせしました。お席へどうぞ≫

僕はもっと麗菜さんを見ていたかったけど、僕もあんなふうに頭全体にロットを巻かれるんだと思うと興奮で体がブルブル震えた。

≪シャンプーはどういたしますか?・・あと髪が大分長いようですがカットしますか?≫
『あっ・・・いえ、どちらもしないでいいです。』

≪そうですか。では。≫

そう言うと彼女は、僕の髪を後ろに解かしながらブロッキングをはじめた。

髪がある程度の量ごとに束ねられてギュっとゴムで留められる。

ブロッキングが終わると彼女は先生が麗菜さんを終わるのを待つっている様子だった。

僕はこの時に乗じて麗菜さんのパーマを見る事が出来た。

麗菜さんは既にロット巻きが終りターバンを巻きつけているところだった。

綺麗な麗菜さんがロットを巻かれてパーマ液をかけられている姿は衝撃的で、たぶん一生頭から消えないと思う。

僕があまりにも食いつく様に麗菜さんを見ていたので

若いスタッフが笑いながら言った。

≪あっ、そうか!お客さん美容室初めてでしたよね?≫
『美容院に来たのも、パーマをこんな近くで見るのも初めてです。』

≪でもねぇ、あんな風にロット巻いてる姿は恥ずかしくて私は男の人に見られるのが嫌で・・・。今は大丈夫になったけど・・お客さんも今からああいう風にするんですよ・・・クスッ・・恥ずかしがらないでくださいね。≫

僕は自分が、ロットを巻かれてターバン姿を想像しただけで心臓がバクバクして緊張した。

麗菜さんが1液の塗布を終りキャップと保温タオルをして待ち合い席に移ると、先生がロットやパーマ材料の乗ったワゴンを僕の脇に持ってきた。

すぐに先生はブロッキングを外してパーマ液をつけながらロットを巻き始めた。

若いスタッフも先生に指示を受けながら別のところを巻き始めている。

僕の想像してたのと違って、かなりキツくロットで髪を引っ張る様に巻いて、その巻いたロットが頭にしっかりとゴムで止められていくのが分かる。

ロットの髪を引っ張る感じが、徐々に耳の後ろに広がってもうそろそろ巻き上がりが近いのが感じた。

≪ここからならもう大丈夫よね!≫
≪はい、もう大丈夫です。先生お食事なさってください。≫

そうか、きっと先生はずっと忙しくて昼食をとって無かったんだと思った。

≪あの、お客さん・・先生がお食事しますのでここからは私がやりますので・・・≫

僕はこっくりうなずいた。

それから少しして最後のロットが巻き終わった。
そしてゴム跡防止ピンが数本ロットに止められていく。

ピンで止めたところは更に髪が引っ張られて痛い。

全てのロット巻きの行程が終り、額や耳の脇にクリームの様なものが塗られた。

彼女が奥の棚からタオル数本とキャップを持ってきて、そのタオルの1枚を丁度網カーラーの時の様に両耳に掛けてその上からターバンで押さえる様にした。

ロットに引っ張られる感覚とターバンによる締め付け感が想像した以上に強いものだった。

頭全体に巻いたロットにターバンを巻いた自分の姿が、目の前の鏡に映っている。

1液が塗布され始めた。
これも初めての感覚で、ヒンヤリとしたパーマ液が頭の上から襟足の方にツツーと流れ落ちるのを感じて反射的に首をすくめた。

≪あら、大丈夫ですよタオルで止まりますから。初めはみんなそうなんですよね。タオル巻いてあるのを忘れて下まで流れ落ちる様な錯覚おこして・・・私も最初そうでした。・・・もうすぐ終わりますから。≫

そしてパーマ液の塗布が終りキャップとタオル保温をして待合席に案内された。
僕はそのまま麗菜さんの脇に座った。

(お疲れ様。どう?パーマ初体験は?パーマ姿似合っていたわよ!)
『そんなぁ~・・超恥ずかしいです。』

麗菜さんとそんな話をしていると、若いスタッフが麗菜さんを呼びに来た。2液の塗布のようだ。

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